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江戸を駆ける歴戦の猛者たち
江戸の近くの森林に、無数の馬の声が鳴き響いていた。
「―――――ライダー様。準備整いました」
「―――ククク。今宵は満月か」と闇に紛れていたライダーは、後ろに控える者たちの前で、ゆっくりと月を眺めていた。
そしてゆっくりと兵たちに顔を見せた。
「各々よくぞ我が元に来た。生前からの顔ぶれの者、江戸に不満を持ち落ちた武者。目的は違えど、目指す場所は同じ、ならばこのライダーが導こうぞ」
そこにいるものたちはライダーの言葉に共感し、勝ちどきをあげ、意気を高ぶらせていた。
その中で先頭に立っていた一人の男がライダーに近づいた。
「先陣は私にお任せを!」
「―――ククク。よかろう、行くがよい」
「では、戦場にてまた会いましょうぞ!」と男は一匹の馬に乗り江戸へと駆けた。
その後ろを一部隊が追跡するかのように走り出した。
「――――他の者も遅れをとることなく戦功を立てよ。全軍…突撃せよ!」
完全なる闇のなか。
無数の馬の足音が江戸へと駆け始めた。
死の音をゆっくりと奏でながら。
viewpoint change
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