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擦りむいたひざ小僧から血が滲んで、痛くて怖くて………
「うわぁ~~~ん!!」
しゃがみ込んで大声で泣いた。
「痛ぁ~~~い!!!」
「お母さぁ~~~ん!!!」
そんな私に小さな手が差し延べられた。
びっくりして顔を上げると、知らない男の子が立っていた。
「大丈夫?ケガしたの?」
「うん……血がね、血が……」
「大丈夫!!家まで一緒に行ってあげるから泣かないで?」
「!!……本当??」
「うん!!」
男の子の笑った顔があまりにも可愛くて、私まで笑顔になった。
「お兄ちゃん、ありがとう!」
男の子は私の手を取りゆっくり歩き出した。
繋いだ手が暖かくて、私は安心した。
足の痛みさえ忘れるくらい、心が弾んでいた。
「お兄ちゃん、お名前は?」
「一樹だよ。」
「私は梨乃ちゃん!」
「梨乃ちゃんは何歳?」
「4歳!お兄ちゃんは?ランドセルして、学校行くの?」
私は一樹の背負っているピカピカのランドセルを指差して聞いた。
「僕は7歳。学校は明日からだよ。」
「そっかぁ!」
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