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麻美「風?」
飛鳥「そう、風」
麻美「風、ってあんたまた……」
少し頭が痛くなった気がする。
でもこういった事を言い出したのは最近の事ではなかった。
朝霧 飛鳥―
背は163㎝と私より少し低いといった具合で、腰にかかるぐらいの髪をポニーテールにしている。
本人曰わく、長い方が好きだが運動するには邪魔だということで、試行錯誤の末に今の髪型に落ち着いたそうだ。
その飛鳥は時々私には理解し難い事を言う事があった。
中学では同じ短距離ランナーだったが、その頃から時々『風の流れが見える』などと言っていた時期があった。
「だからって速くなるもんでもないんだよね~」
などと笑ってはいたが。
しかし高校に入り種目を高跳びに変えると、冗談だと思っていた飛鳥の言葉が本当なのかもしれないと思わせる記録を出した。
だが常にといったわけではなく、時々凄い跳躍を見せる。
そこがより信憑性を持たせている要因なのだ。
麻美「まぁ、いつものことか……」
飛鳥「何が?」
麻美「いや、気にしないで。
多分あんたはいつも通りにやれば何とかなる」
飛鳥「?」
本人が一番分かってないとか……?
麻美「……はぁ」
私は私の心配しなきゃだめだと再認識させられた放課後であった。
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