『てけてけ』と遭遇

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つまり、その足元に落ちてきて這上がって来ている物体を目で確認出来ない状態。上へ上がって来る度に、布団が沈む感触もしっかりと伝わってくる。下半身が無い上半身の両手が、オレの胸で止まった…。顔面まで被った布団のお陰で、目を開けてもそいつの姿は確認出来ないがする気もない。布団一枚隔てて様子を伺っている異形の者…。オレの首を締めようと思えば締めれる。『殺されるかも知れない!』その瞬間、ブチ切れた!『っのやらあ~~!!』と訳解らぬ言葉を発しながら、布団を蹴りで跳ね飛ばすと同時に戦闘態勢。気合いで金縛りを解き放ったのだ。……しかし、そこには誰もいないし何も無かった。ファミコンをやってた弟が隣の部屋から飛んできた。『どうした?』事情を説明し納得して貰ったが、オレの怒鳴り声だけ聞こえたらしい。それ以来、その家では何にも無かった。今思えば、それが下半身の無い幽霊『てけてけ』とのたった一度の遭遇だった。ああゆう存在と言う者は、人が怖がる様に仕掛けてくると思う。ビビッて何も出来なければ、もっと酷い事をされるかもしれない。もう死んでる奴をもう一回やっつける位の覚悟で対応しないとダメだと思った事件でした。~終わり~
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