辺境の島

11/23
前へ
/73ページ
次へ
練習生を国籍不明機から避けるために、まゆきと練習生たちは一気に高度を下げていった。   しかしその練習生たちに向かって、国籍不明機は躊躇いもなく攻撃したのだ。   降下中に練習生の一機が、国籍不明機の機銃でコクピットを撃たれ即死した。   まゆきはそれを見て、練習生たちを守るために練習生たちの機と、国籍不明機の間に自分の機を割り込ませた。 そこで国籍不明機から機銃掃射された。   幸いまゆき自身は撃たれずにすんだが、コクピットをかすめた銃弾がキャノピーを木の葉のようになぎはらい、それがまゆきを襲ったのだ。 音姫の追撃をよそに、その後も執拗な国籍不明機の機銃掃射は続いた。 まゆきは多量の出血と痛みで気を失いそうになりながら、なんとか生き残った練習生と命からがら初音島基地に帰還した。   しかし生き残った練習生も機銃掃射の被害を受けており、二機が着陸時に失速し海上へ墜落。 また一機は、機銃掃射の流れ弾でラダーとエアブレーキの油圧系に故障が生じ効かず、滑走路を外れてオーバーシュートし、草地に突っ込み炎上した。 どちらも病院に緊急搬送されたが、まもなく息を引き取った。   まゆきも着陸と同時に気を失い、緊急着艦用ネット(航空母艦の艦載機の緊急着陸時に使用されるが、地上基地でも採用され配備されている)がなければ、危うくオーバーシュートしているところだった。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加