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虚空の青空を、10機程の戦闘機が轟音を響かせ鋭く切り抜けていく。
翼がキラキラと太陽光に反射し、さながら天使のようであった。
その先頭の一機が、無線で地上の基地に向かって怒号を飛ばしている。
「…無茶言わないで下さい!まだ補修教育も済んでいないような練習生を連れてるんです!」
美しい栗色の髪を、上手く結いあげてヘルメットの中に収めている少女。
この部隊の隊長、朝倉音姫である。
「領空侵犯してきた国籍不明機を確認し追い返せと言っても、練習生を連れていては危険じゃないかと言ってるんです!」
『朝倉二尉、その訓練空域にいる貴隊しか間に合わないんだ!雪月花隊にスクランブル発進をかけているが、その空域到着まで5分はかかる!国籍不明機、初音島から約15マイル、訓練空域E-727を基点に、方位135から175に展開、数は7!』
無線から焦っている管制官達と基地司令官が周囲に指示を促す声が返ってきた。
『待って、ハツネジマコントロールへ。国籍不明機は防空識別圏にはひっかからなかったの?』
管制官とは違う少女の声が、音姫の機の無線に割り込んできた。
彼女は高坂まゆき。
航空幹部候補生時代からの親友で、入隊当時から音姫の二番機を組んできたペアである。
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