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平穏な日常というものは、たった一つの出来事でかき消されてしまうものだ。
西暦2025年。
NASA(アメリカ航空宇宙局)は、ハッブル宇宙望遠鏡での観測によって、地球が公転している軌道にアステロイドベルト(無数の小惑星帯)が侵入したと発表した。2~3年以内には地球の軌道とアステロイドベルトが重なる、つまり大小多数の隕石が地球全体、世界中に飛来するということだった。
国連及び各国政府は、隕石をミサイルで迎撃する方法、軌道上に防御シールドやレーザー兵器を開発する計画など多数の対処案を提案したが、結局技術面と大国の宇宙進出による軍事均衡の問題から途中で放棄され、有効な対処も出来ないまま、隕石が世界中に飛来した。
もちろん日本にもその被害は及んだ。
なかでも中型の隕石、ナイジェルは落下予測データに誤差が生じ中部地方に直撃、多数の死傷者を出すとともに新潟から名古屋にかけてがクレーターによって陥没し周囲の海水が侵入、二つに分断されてしまったのだ。
この天災によって日本の国家機能は弱体化し、アメリカ・中国に復興支援を仰いだ。
日本政府が何故中国に支援を仰いだのかは現在も定かではないが、アメリカだけに復興支援を要請し、輸出入大手の得意様中国との関係を崩したくなかったという考え方が現在の明確な答えだ。しかし、この選択が日本にとって明暗を分ける選択になるとは、そのとき政府は思いもしなかっただろう。
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