辺境の島

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北海道の新千歳・千葉の成田両空港に東側の支援に到着した中国人民解放軍の装備を見て、与党政府関係者は愕然とした。 輸送機の周囲には道中護衛をしてきた戦闘機が多数、輸送機から下りてきた戦車や地対空ミサイルを搭載したトラック、兵士は全員救援物資ではなく機関銃を抱えている。   「これは、復興支援ではない…まるで侵略ではないか!」   自民党の抵抗も虚しく、国会で物議をかもし出していた『日本分割復興決議案』は採択され、民主党その他野党の投票により国会を通過する。 その間に、東側に展開していた在日米軍は西側の岩国、嘉手納に撤退した。   東日本臨時政府(中国側)は首都を仙台とし(東京は、隕石衝突時の津波で都市機能に大打撃を受けていたため)西日本臨時政府(アメリカ)は大阪を首都とした。 新潟から名古屋にかけての海峡は中部海峡と呼ばれ、当初は渡航も自由であったが、やっと復興が進み出したという2036年から、少しずつ米中間の緊張状態が高まり、渡航が制限されるようになっていった。
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