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「私は、貴女の笑顔に…幾度となく、助けられました。」
フレデリックがボソリと呟いた時、まるで彼の存在を忘れていたアリスは、飛び上がりそうな程、驚いた。
「私では、彼の…ゼフィロスの代わりには、なりませんか?」
フレデリックの口から、ゼフィロスの名が出た事に、更に驚きながら、アリスはフレデリックの揺れる瞳を見つめていた。
どこにいるのかもわからないゼフィロス様を思い続ける事に、意味が無い事は、充分過ぎる程、承知しているつもりだ。
私は、捨てられた…そう思った方が、楽になれるかもしれない。
ゼフィロス様がいつかはきっと、戻って来てくださるという微かな希望が、この時、消えてしまったのを感じた。
「私は貴女の笑顔を守りたいんです。何があっても、貴女から決して離れたりはしません。」
フレデリックの瞳からは、迷いが消え、アリスをじっと見つめていた。
フレデリック様は、優し過ぎる。
このまま、彼の優しさに包まれてしまいたいと、何度思ったのだろうか…?
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