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そもそも、何故こんなにもゼフィロス様を求めてしまうのだろうか?
彼の血の影響だけではないはずだ。
ヴァンパイアに覚醒する前から、彼が好き……ううん、彼を愛していたのだから。
彼がいなくなって、フレデリック様の気持ちに気が付くなんて…。
どうして今まで気が付かなかったのだろう?
フレデリック様の優しさに護られている事が、当たり前だったから?
「フレデリック様……、私……。」
私は、最低だ。
瞬きと同時に、無意識に涙が頬を伝った。
「貴女を悲しませるつもりは、ありませんでした…。」
フレデリックは、意表を突いたアリスの涙に、心痛な面持ちでそっとアリスの頬に手を伸ばすと、涙を指で拭った。
そして、伏せ目がちに立ち上がると、部屋を出て行こうと、ドアの取っ手に手をかけた。
「…行かないでッ……ください…。」
フレデリックがドアの取っ手に手をかけるなり、アリスはベッドから飛び降り、フレデリックに後ろから抱き着いていた。
「いなくならないで…………。」
アリスは、フレデリックにしがみつきながら、震える声で呟いた。
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