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『傍にいる』と、言ってもらいたかった。
他に何もいらない。
「……一人は……嫌ッ………。」
どこまでも弱い自分が、そこにはいた。
誰かにすがっていないと、自分という存在が、消えてしまいそうだった。
「アリスが…望んでくれるのなら、私は決して、貴女から離れたりはしません。」
フレデリックは、自分の腰に回されたアリスの手をそっと握ると、優しく呟いた。
「フレデリック様は……、傍に…ッ……いてくださる?」
アリスは、みっともない程、ボロボロと涙を零しながら、床に崩れ落ち、泣き始めた。
「今の貴女には、休息が必要です。……ほら、涙を拭いてください。」
アリスをなだめながら、優しく抱き上げると、ベッドへ運び、寝かし付けようと、アリスの涙を指でそっと拭った。
「……そばに……いてください………。」
涙を拭おうと手を延ばしたフレデリックの手を掴むと、アリスは不安そうな瞳で見つめた。
「大丈夫、ずっと傍にいますから。」
フレデリックは、アリスに微笑みかけると、額にキスを落とした。
なんだかとても、暖かい。
フレデリック様の手をこうして包み込むと、とっても落ち着く…。
アリスは、安心したかのように、フレデリックの手を両手で包み込むようにして、眠りについた。
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