…assassination…

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「シェリー、私が何を望んでいるのか、もうわかったかい?」   ウェインは、扉の前に立つ従者に問い掛けると、ゆっくりと近付いて行った。   シェリーは、近付いてくる主を見つめ、緊張した面持ちで、姿勢を正している。   「………薔薇の姫君、アリスを……仕留めて参ります。」   良い答えが返ってきたことに、微笑みを浮かべたウェインは、そっと従者の頬に手を添え、   「……いい子だね、シェリー。期待してるよ…。」   と囁き、優雅に部屋から出て行った。   一人残されたシェリーは、緊張を解くかのように、小さく溜息をついた。   彼女の表情からは、感情など読み取れない。   それでも、腰に掛けられた剣の柄を握りしめ、微かに眉を寄せながら、部屋を出て行った。   そう、薔薇の姫君を狩るために。   ウェイン様のご命令とあれば、ただちに任務を遂行しなければならない。   たとえそれが、不可能に近いモノであろうと…。   今回は、半人前のヴァンパイアを狩ればいい。   それだけだ。   これほどまでに、容易な任務など、今まであっただろうか?   そんな事を考えながら、シェリーは着実に、アリスのいる城へと向かいながら、滑るように森を走り抜けていた。
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