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「フレデリック、お客様のお出迎えをしてください。」
アリスの寝顔を見つめていたレベッカは、シェリーの気配を感じ取ったのか、フレデリックにそう告げると、アリスの部屋を出て行った。
フレデリックも後を追うように、あっという間に姿を消した。
向かった先は、薔薇園だ。
「珍しいお客様ですね。」
フレデリックは、滑るように薔薇園を進みながら、前方にいる女性に声をかけた。
「あら、もうお出迎えが到着したのね。」
シェリーは、楽しげにフレデリックを見つめると、再び薔薇に目を向けた。
「ご用件を承りますよ?」
シェリーとある程度の距離を取り、立ち止まると、微笑みかけた。
「アリスに会いたいの。…お友達になりたくて。」
シェリーは、クスクス笑いながら、優雅にフレデリックとの距離を縮めていく。
すると今度は、一瞬のうちにフレデリックの背後に回り込むと、そのままフレデリックの首筋を指で撫で、
「あなた…、すごく美味しそう。」
「お褒めの言葉…、有り難うございます。」
フレデリックは、先程までシェリーに背後を取られていたが、少し離れた位置で、微笑んでいた。
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