62人が本棚に入れています
本棚に追加
夜の帳が下りた頃、一人の少女が薔薇園へと足を踏み入れた。
少女の肌が、月に照らされ、白さを際立たせている。
少女は、近くの薔薇にそっと触れると、何かを感じ取ったかのように、薔薇園の入口を見つめた。
「今日は、月が綺麗だね。」
と、月を見つめながら、こちらへと向かって歩いてくる長身の男も、透き通るほど、肌の色が白い。
「遅れてしまって、すまなかったね…、アリス。」
男は軽く謝罪すると、アリスと呼ばれた少女は微笑み、慌てた様子で、薔薇を二輪摘むと、その一輪を男の胸に留めた。
「いえ…、フレデリック様、来てくださって、有り難うございました。」
アリスは、残りの一輪の薔薇を自分の胸に留めつけた。
「さて、始めましょうか…。」
と、フレデリックは、剣を抜くと、上品に剣を構えた。
アリスは、緊張した面持ちで、相手から少し離れた所で、剣を構えた。
最初のコメントを投稿しよう!