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不意に、フレデリック様の私を呼ぶ声で、現実に引き戻された。
さっき見た夢は、いつもと違う展開へと発展したというのに…。
「大丈夫ですか、アリス…?」
夢の事ばかりに、気を取られていた私は、自分がベットに横たわっている事に、気が付いていなかった。
「きちんと食事をしているのですか?」
フレデリックは、心配そうにアリスの頬に手を当てながら、見つめている。
食事…、フレデリック様は、私を気遣い、人間らしい言い方で、聞いてくださった。
私がまだ、人間を棄てきれないでいる事を知っていらっしゃるのだろう。
「すみませんでした………。」
その言葉しか、出て来ない。
フレデリックは、一度アリスの側を離れると、赤い液体が入っているワイングラスを持って来た。
私は、それが何なのか、知っている。
あれは、私を狂わせるモノだ。
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