その男、住所不定無職

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一年前、思い切って俺は今まで過ごしてきた小さな田舎町から上京した。 特に理由は無かったが…、いや、何か理由が欲しかったのかもしれない。 だが上京してからは、毎日何かに追われるように日々を過ごして来た。 それにしても、仕事以外の人付き合いが全くと言って良い程無かったのが、今になって仇になるとは考えてなかったな。 「あはははっ………はぁ」 俺は自重気味に笑った。 俺が生きている意味って何かあるのかな? ザアァァァ 「うわっ」 強い風が吹いた。 吃驚して思わず目を瞑る。 そして目を開いた次の瞬間、目の前に妙齢の女性が立っていた。 今にして思えば、それが、俺の人生の転機だった。
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