ケーキと紅茶の材料

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気が付くと暗い牢屋の様な場所に寝転がっていた。 周りを見ると牢屋には俺の他に五人の男がいる。 どいつもこいつも生気を抜かれた顔をしている。 何だか気味が悪い。 しかし、自分が置かれている状況を聞くために、思い切って一番近くにいた男に話し掛けた。 「あの…ここって何処ですか? と言うかあなた達は?」 男は俺の顔を興味なさ気に見た後、顔を伏せてポツポツと話始めた。 「…俺が来た時はもっと人がいたんだよ。 でも、一人づつ連れてかれて…」 嗚咽の混じった声。 質問の答えになってないし、困ったな。 他の奴に聞いても同じ結果だった。 結局、誰もここがどこで、何で自分達がここにいるのか理解していなかった。 「ふぅ…」 壁に背を預けて、天を仰ぐ。 まあ、そこにあるのは青空ではなく、薄汚れた天井だったが。 気が付くと俺は眠っていた。
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