ケーキと紅茶の材料

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「うん!」 フランは目を輝かせながら手に取ったパンを食べ始めた。 「あなた中々、良い人だね」 もふもふとパンを食べながら喋る。 そうだ。 この娘ならここがどこなのか知っているかもしれない。 俺は夢中でパンを食べているフランに聞いてみることにした。 「あのさ…、食べながらで良いから聞いてくれる?」 フランはコクコクと頷く。 「ここって何処かな?」 フランは不思議そうに首を捻り、指を胸にあてて喋る。 「私のうち」 フランの口から食べ掛けのパンがポロポロと落ちる。 「紅魔館ってゆーの」 ぽろぽろ。 「それでここは、食料庫、だよ?」 ぽろぽろぽろ。 「紅魔館?食料庫?」 俺はフランの話を聞いて、何時間か前に体感した恐怖が蘇ってきた。 八雲紫。 俺を見て脂っぽそうじゃないとか言っていたような。 誰かがグルメだとか。 俺の運が悪ければ死ぬだけ。 それで、穴に落とされて、今、食料庫にいるという訳で…。 あれ? 俺ってもしかして、このままだと食われる? 俺は混乱している頭を必死に稼動させ、フランに質問した。 「あのさ、フラン? …君ってさ、人間とか大好物だったりする?」 ハッ! 俺は女の子に何て事を言っているんだ。 第一、「うん」とか言われたら、その場で頭からゴリィ!とか洒落にならないよ。
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