紅い悪魔の館とその住人達

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目が覚めた。 今度は、ゴツゴツの石張りの地面じゃなく、ふかふかのベッドで眠っていた。 横を見ると暖炉の前の椅子にメイドが座って本を読んでいる。 俺の視線に気付いたのか、本を閉じて俺に話しかけて来た。 「おはようございます。 気分はどう?」 「えっと、おかげさまで…と言うか、ここは…?」 俺は体を起こそうとして肘をベッドに立てたが、体に力が入らなく、ベッドに情けなく倒れ込んだ。 「あれ、力が入らない…」 「あぁ、無理に立たないでくれる? 崩れるかも知れないから、体が」 そしてメイドは、どこからか取り出したティーセットで紅茶を淹れ始めた。 温度調節までして、本格派の淹れ方だ。 「はい、おまちどう様。 動かないでね? シーツに零れるから」 そう言うとメイドは、俺の体を起こして紅茶を飲ませてくれた。 「…おいしい」 俺はメイドからカップを受け取ると味わうように少しずつ、紅茶を口にした。 その紅茶は不思議な味がした。 今まで紅茶はティーパックでしか飲んだ事がないが、これが本物の味なのだろうか? 味は凄く濃厚で、色が赤い。 まるで血の色みたいな…。 そして不思議と体に力が漲る感覚。
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