願わくば…

2/5
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
    ―こんなにも苦しい想いをさせていたなんて       「ごめんね、何も言わなくて」   「……コンラッド?」    「こんな気持に、させてたんですね」         ―彼は誰からも愛されている存在。   ヴォルフをはじめ、ギュンター、グレタ、グウェン その他、兵士や民など数えきれない程たくさんの人に愛されている存在。     そんな皆に愛されている存在 いや、愛されるべき存在の彼を 俺は自分だけの物にしたいと思ってしまった     抱き締めて、口付けて、彼が今までに味わった事のないような快楽を与えてしまいたくなった       だから、俺は眞魔国には帰らずに 大シマロンへと行った     このまま側に居れば 絶対に彼を汚してしまう だから、大シマロンへと行った       だが、俺は自分の欲望を抑える事に夢中で 彼の性格を忘れていたのだ     皆から愛される要因の1つでもある その寛容な心の事を       (恨んでくれたらよかったのに…)       アイツは眞魔国を裏切った最悪な男だ と罵ってくれればどれほどよかったか     だけど、優しい寛容な心の彼はその逆の事を思った       (“おれがいい王様じゃないから、コンラッドは眞魔国から離れた”…と)       彼の性格を考えれば 彼がこう思うとわかっていただろうに   あんなに側にいて あんなに彼を見てきて   何故、こんな風になるまで 俺は彼の心に気付かなかったんだろうか
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!