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放課後、野ブタとオレは屋上で皆が帰っていく様子を見下ろしていた。
ひゅう、と冷たい風が吹き抜ける。
野ブタの顔が夕日に照らされて、
オレンジ色に染まる。
それがすごくキレイで。
ぐらり、とオレの中の何かが揺れる。
思考回路が鈍くなる。
野ブタがこちらを向いて何かを喋っている。
でも、何も聞き取れない。
オレは野ブタの唇の動きを、ただじっと見つめていた。
野ブタが校庭に視線を戻した。
フェンスを握った白い手が夕日に映える。
野ブタが寒いのか、体を少しだけ震わせた。
その瞬間、ぷつりと何かが切れた。
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