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カシャン、と乾いた音がする。
野ブタはフェンスを背にして。
オレは野ブタを囲うようにフェンスに手をかけて。
野ブタが、俯く。
また、何かを言ってるけど、オレの耳には届かない。
心臓の音がうるさくて、もう何も聞こえない。
「野ブタ」
声が震えていることも、オレには分かってなかった。
野ブタがちらり、とオレのことを見た。
大きな瞳が不安げな色を宿している。
オレがプロデュースの話を持ちかけたのに。
妙に焦って。
不安で仕方無くて。
もっと野ブタのこと知りたくて。
他の誰よりも、色んなトコたくさん知っておきたくて。
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