12人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
フェンスを握る手が痛い。
それは、強く握っているからだろうか。
寒さのせいだろうか。
フェンスに背中をぴったりとくっつけている野ブタ。
夕方のフェンスはきっとすごく冷たいだろうに。
ごめんね。
「オレ…野ブタのこと もっと知りたい」
野ブタの細い肩がびくりと震えた。
オレの頬を、野ブタの黒髪が撫でる。
オレの体は熱くってしょうがないのに、
触れたモノは冷たかった。
目を開けたソコには、野ブタの大きな瞳があった。
そこには、オレがしっかりと映されている。
妙に焦って。
不安で仕方なくて。
どうしていいか分かんなくて。
「オレ…全然余裕無い、だっちゃ」
こんな不器用なオレを 許して。
おしまいケル。
最初のコメントを投稿しよう!