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深い森の中を少年が早足で歩いている。
黒髪黒目に整った綺麗な顔、少し高いくらいの背丈に漆黒のコートを纏っている。
リヴァル=グレイシア
それが彼の名前。
このいかにも迷ってしまいそうな深い森の中、仮面をつけたように固まった表情をした、黒づくめが歩いていることに事件性を秘めている感がしないこともない…。
まぁ逆に、ニヤニヤと一人笑みを浮かべ歩いていても怖いし危ないが…。
それにプラス鼻唄なんて…
該当者が浮かんできそうなのでこの辺で止めとこう。
数分間歩き回ったのち、少しひらけた場所に出て顔を下に落とす。
「………………」
空間を埋め尽くす無音と無動。
木の葉揺れる音、鳥の鳴き声さえそこには存在しなかった…。
「………………」
数秒が無限にも感じられた間ののち、ようやく一言
「……………迷った」
その期待はずれとも期待通りともとれる言霊を呟き、溜め息と同時に肩を落とした。
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