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シャドウもそれを追って立ち上がる。
扉の向こうには教会があった。
そこで初めてシャドウは自分が教会に居たことに気付いた。
「教会…」
「今はもう使われていません」
祭壇の前に居たレインは十字架を見上げていた。
シャドウはゆっくりとそれに近付く。
「なぜ?」
「センター街の近くに、新しい教会が建てられました。
それまでは、ここもずいぶんと賑わっていたのですけど…」
光を浴びた十字架はシャドウには眩しすぎて、目を逸らした。
レインも十字架から顔を背け、今度は教会の出口に向って歩き出した。
「…どこへ?」
「センター街です。
昼間に行っておかないと、商品がなくなってしまうんで」
「僕も行こう」
そう言い、シャドウは再びレインを追った。
「…いつもパンなのか?」
「はい、ご飯だとお皿が要るでしょう?」
センター街にある、パン屋さん(行きつけ)でパンを買い、パン屋の奥さんにジャムをいただいて、二人は帰路に着いていた。
「あ、そうだ。
シャドウさん、センター街を行ったとこに道があるんです」
「………」
だからどうした。
という意味を含め、シャドウはレインに視線をぶつける。
「地平線が見えるんです。見てみませんか?」
レインは少しだけ笑い、シャドウの返事を待たずにスタスタと歩き出した。
「……」
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