始まりを告げる風

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僕が教会に来てから、一週間がたっていた。 レインは相変わらず面倒見がいい。 朝早く起きて教会を掃除して、花壇に水をやる。 その後朝ご飯(パン)を僕に渡して、色々と話しをする。 昼には街に出掛けて、翌日の食料などを調達する。 夜は僕に寝袋をかして、自分は教会の長椅子に座って、夜を明かす。 何度も寝袋で寝るように進めるが、彼女は一度も「うん」とは言わなかった。 僕たちはセンター街に来ていた。 買い物も済み、いつも通りに教会へと足を運ぶ。 昨日、僕は彼女になぜあの教会に居るのかを聞いた。 彼女の両親は彼女がまだ幼い頃に亡くなり、独り身になった彼女をあの教会の牧師が彼女を引き取ったらしい。 その牧師も三年くらい前に他界し、彼女一人があの教会に残されたという訳だ。 僕が彼女のことを聞いても、彼女は僕のことを聞きはしなかった。 彼女曰く「また今度」らしい。 「このごろ世界はどうなってる?」 「どうなってる…とは?」 パンを抱えて彼女は僕に視線を合わせた。 世界が気になって仕方なかった。 あの後、世界は無事だった。 だが、GUNは僕を… そしてスペースコロニー・アークを狙っているのではないだろうか? 仮にも僕は究極生命体として生み出され、あの事件が起こるまで眠らされていたのだから。 指名手配ぐらいされていてもおかしくない。 α
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