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「気になるようでしたら、街の酒場に寄って、テレビを拝見なさいますか?」
レインの申出に僕は素直に頷いた。
酒場にはマスター以外誰もいなかった。
レインに聞くと「皆さん、センター街の方のお店にいらっしゃいます」と言っていた。
敢えてこちらの店にしたのか、彼女がしたいだけなのかわからない。
「マスター、テレビつけていただいていいですか?」
「あぁ、どうぞ」
返事をもらい、レインはテレビの電源をつけた。
『今日昼ごろ、ステーションスクエアでソニックと思われる人影が目撃されました』
テレビをつけて直ぐにこれだ。
彼の人気は今も健在なようだ。
『彼、ソニック・ザ・ヘッジホッグは一ヶ月ほど前のエッグマンの世界制服宣言を阻止し、それ以来姿を見た人は居ませんでした』
あれから一ヶ月も経って居たとは、ここに来るまで僕はずっと大気圏を彷徨っていたのだろうか。
『目撃者の証言によりますと…』
「ソニックさんって有名人だったんですね」
「知らなかったのか?」
彼ほど世間を騒がしている者も居ないだろうに。
「私、テレビを見るのは三年ぶりです」
それは知らない筈だ。
彼は元々有名だが、三年前だとこれ程大々的にニュースに取り上げていなかっただろう。
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