始まりを告げる風

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翌日、僕たちは砂漠を歩いていた。 レインが砂漠を進んだ先にあるサボテンがいると言っていた。 「サボテンなんかなにに使うんだ?」 「明日、ラークでサボテン祭が開かれるんです」 「サボテン祭?」 復唱した僕にレインは頷き、言葉を続ける。 「サボテンの花を街中に飾り、食べ物などもサボテンを使うんです」 「………」 説明してからしばらく歩いていると、緑の葉が見えてきた。 サボテンだ。 「これでよろしいですか?」 「あぁ、助かったよ。 ありがとう、レインちゃん」 サボテンは新しくできた教会の牧師に届けた。 人柄の良さそうな髭を生やした老人だ。 胸には十字架が提げられている。 牧師に礼をし、レインは入口の方へと戻ってきた。 「もういいのか」 「はい」 明日から開かれるという祭りに街中がいつも以上に騒がしくなっている。 だが、僕らがいるあの教会だけはいつもと変わらず、静けさを保っていた。 「…あの牧師さん」 「?」 いきなり喋り出したレインを見ると、やはり十字架を見つめていた。 「ここの牧師さんが亡くなって、しばらくしてこの街にいらしたんですけど… あの教会が建られた時、私を引き取って下さるとおっしゃってました。 それでも、私はこの教会が好きで、どうしても牧師さんの申し出を受け入れることができなかったのです」 そう言って、彼女は手に持っていたサボテンの花をヒビの入ったビンにさし、祭壇に飾った。 α
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