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しばらく固まっていたが、気が付くと直ぐに僕も扉を開いて外へ出た。
「……アイツ」
左右を見回すが、もう先ほどのハリネズミの姿はなかった。
小さく舌打ちをすると後ろからレインが声をかけてきた。
「シャドウさん、街にもう一度行きましょう。
皆さんが心配です…」
「…いや、今行くのは危険だ」
まださっきの四人組がいるかもしれない。
「!、教会…教会に居る牧師さんは!?」
確か、教会はあのステージの近くだった。
レインを見るとその瞳は既に教会の方を向いていた。
慌てて、彼女を引き止める。
「今行ったらさっき逃げたことを奴等に問詰められる。
騒ぎが収まってから行こう」
「それではおそいかもしれません!」
「牧師なんだから、皆に助けられているさ。
また後にしよう、必ず行く」
僕がそう言うと、レインは黙って俯き、しばらくして小さく「わかりました」と声がした。
心配なのはわかるが、今行くのは無謀だ。
「大丈夫だ、無事さ」
「…そう、ですね」
少し心細そうな微笑みに、僕も苦笑いを返した。
その時。
一筋の風が吹いた。
その風は始まりを告げるように駆け抜けた。
「HEY!久しぶりだな、シャドウ!」
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