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「じゃ、オレもう行くな」
「はい」
ピョンッと長椅子から飛び降り、ソニックは世話になった少女に向き直った。
「また来るぜ」
「是非」
改めて光を浴びる十字架を見上げた。
この教会によく似合う、ボロボロの十字架。
「神は信じてないんだ」
「え?」
「オレは神も追いつけないスピードで走ってるからな」
十字架を見つめたままのソニックにつられるようにレインも十字架を見上げた。
「私も神様は、あまり好きじゃありません」
「What?」
「神様も、私を好きじゃありませんから」
いまいち意味がわからないが、ソニックはなんとなく頷いておいた。
「水をどうぞ」
「おっ、Thank you!」
ペットボトルを受け取り、ソニックは軽く足を動かした。
教会の前、まだ日は高く気温も高い。
レインはソニックを見送りに教会から出てきていた。
「じゃあ、See you soon!」
風が吹くように走り去った彼を、レインはびっくりしたように見送っていた。
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