1192人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
顔を上げて真っ先に視界に入り込んだのは、上等な机に上等な椅子。
それに見合うほどの強いオーラを放つ、一人の男。
その男は長い脚を組み、頬杖をついてあたしをじっと見つめている。
その唇は笑っているが、それがなんだか自信満々ですって言わんばかりの表情で、あたしを更に緊張させた。
意志の強そうな鋭い瞳。
スッと通った鼻筋に大きくて厚い唇。ムースで固められたオールバックの髪。
そして仕立ての良いスーツ。
さすが日本の革命児と言われるだけあって、他とは違う何かを感じた。
彼は、頬杖をついたまま唇を動かした。
「おまえが北川美波だな」
最初のコメントを投稿しよう!