登場

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「はい」   小田桐と呼ばれたその人は、凜とした涼しい声で返事をし、高い身長に比例した長い足を部長とあたしの方へ歩みよってきた。   部長はあたしと小田桐さんが向き合う形にさせて、言った。   「小田桐くん、今日から君が北川くんの教育係をやってくれないかね」 「はい、もちろんです」   小田桐さんは部長に凜とした態度で応え、あたしのほうに向き直った。   「小田桐裕也です」 よろしく、とその人はふわっと微笑んだ。   瞬間、あたしの胸がどきんっと跳ねた。 それを悟られないように慌てて「よろしくお願いします」と挨拶した。
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