いたずら時計

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  ◆月に恋したロボット     湖に映る満月に ロボットはある夜 恋をした   やさしい博士は ロボットに 愛するという 感情を インストール してあげた   暗闇を照らす 満月は ただ「愛する」という 人間以上の感情を ロボットの彼に 生み出させた     ただ満月が 見れるなら ロボットはなにも いらなかった   ただ満月が いるのなら ロボットはなにも いらなかった     ある夜 悪魔が口を出す   「お前はただの  ロボットだ  お前の愛など作りもの    さあ悔しいなら  あそこまで行って  大好きな月に  キスしておいで」     言われるままに ロボットは 会いに行こうと 立ち上がり 湖に向かい 飛び込んだ     沈む体 墜ちてく鉛   近かった月は 見えなくなり 水に壊れて 動作が鈍る   電源ランプが 消えるまで 彼は何度も 呟いた   「君に会いたい」   「君に 会いたい」   口は閉じて 光が消えた     何十年経ち 何万年経ち コケが育って 彼は崩れた   それでもずっと 月を愛した  
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