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◆黒と白のはなし
ある夜
星を見上げていた白猫と
月を見上げていた黒猫が
寒い寒いクリスマスの夜
湖のきれいな街で
出会った
「きみが
だれかは知らないけれど
ぼくはきみを
ひどく昔から
知っている気がする」
黒猫と白猫は
一緒に過ごした
どこへ行くにも
一緒に歩いた
ふたりでひとつだった
黒と白の影が続いた
街はふたりがいると
幸せになった
街はふたりの影を
優しく包んだ
まるでそこは
天国みたいだった
まるで景色は
チョコレートみたいだった
ふたりは
ずっと一緒だった
ふたりは
死ぬまで一緒だった
街中から
黒と白の影はやがて消え
当たり前みたいに
時間は流れて
世界はふたりを
過去にしていった
足跡だって
名前だって
遠く遠くへ
流していった
ずいぶん時間は流れて
また
寒い寒いクリスマスがやってきた
白いワンピースの少女が
星を見上げていた
黒いマフラーの少年が
月を見上げていた
湖のほとりで
ふたりは出会った
「きみが
だれかは知らないけれど
ぼくはきみを
ひどく昔から
知っている気がする」
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