第一章・日常のある日

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唐沢が学生の頃にたまたま知り合った間柄なのだが、この男は掴み所が無いんだ。 この事務所もその一つと言っていい。 看板にはこう書かれている。 『もめ事処理屋~葵~』 ……嘘くさい看板である事は認めよう。 唐沢も最初に話を聞いたときはビックリした。 この先輩だからこそなせる破天荒事件は数少なくない。 その事件に無理やり巻き込まれてしまうのは、不幸体質だかやかと本気で悩んでしまう。 だって、出会って最初の言葉がこれだぜ。 「お前……どこの流派だ?良かったら俺と金儲けしないか?」 なぁ、あり得ないだろ。 空手部に当時、所属していた唐沢に対しての第一声がこれである。 そんな事を嘆いてもしかないと、唐沢は諦めつつコーヒーを沸かしだしだ。
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