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シカトの手段の選択をし、俺は物思いに耽りながらも就寝した。夜は己の始めた悪戯に対し、少しばかりの誇りを持っていた。彼の熱唱面が拝め、彼の醜態が大半に知れたであろう快挙こそが、誇りを支える根源だった。そんな己に陶酔し夜が明けたのだった。
アラームで目が覚めると、ケータイに着信。
「オハヨー💤」などと、反省の片鱗すら見えない呑気な態度である。昨日のシカトされた理由すら疑わず、己の発言のデリカシーの皆無さも知らない厚顔無恥な人間である。
コイツの傍若無人な態度と、目覚めて最初の挨拶がコイツとは、その日の気だるさが倍増するものである。
しかし昨日の快挙に唸る、クラスの人間を思いだすと、中々割りきれるものだ。
学校でも彼は相変わらずであった。相変わらず大人しく茶をすすり、ケータイ小説と盗み聞きに盗み読みに精を出していた。昨夜の反省の色の色彩はどこにも無かった。平然である。
クラスの人間が口々に騒ぐ熱唱動画に対する批評も、気付いてないのか、平然と佇んでいた。
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