ブラックメール初日

9/9
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
風呂に入り、彼の熱唱に打ち込む姿を思考するだけで笑えてならなかった。 風呂から上がると彼からのメール。 この一文を読むと、恋愛小説にも似た下りであるが、彼の発信は「バドミントンて、楽しいか[?]」 何を血迷ったのか理解出来なかった。おおよその所、自身の得意な短文送信により、返信の当てがなくなった綾(俺)との途絶えた交信を再開すべく、練りに練り上げた考案文であったのだろう。この挑発にも似た発言を、あえて選んだ彼に対して、俺は憤りを覚えた。何故なら、上から目線的発言でもあるからだ。 「楽しいし😣マジ最悪❗死ね」と返信してやった。死ねには様々なこれまでの、俺の苦悩に値する怒りを込めたつもりだ。しかしよく考えると、かなりの豹変ぶりに笑える。仲良くカラオケの約束までしていた仲であったのに…。よほど俺も怒りが溜まっていたのだのだろう。 こんなカラオケの約束までたどり着いたのに逃すまいと、すぐに返信が来た。 「ゴメン💦」と。 俺はあえて、シカトという選択をした。 ここから事件の口火は切れていたのだった…。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!