ENCOUNTER【出会い】

2/13
184人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「ゲヘッ!ゴホ!ガバッ!」 気管に水が入ったらしい‥むせ返る少年‥ 「だーれー!‥ガーちゃん?」 無邪気な声がする‥‥急いで咳をしながら刃物を突き出し、質問する 「ゲホッ!‥闇の奴らがなんで‥カハッ!‥ここにいる。また俺の首でも狙いに来たのか?」 「人?‥‥あなただーれ?見えないよ~。どこいるの~?」 ‥‥なんとも無邪気 過ぎて気が抜ける……イヤ、声の問題もあるが何より殺気を放つ少年に、水から立ち上がる事をせず、裸のまま起き上がる素振りも見せない 「……もう一度聞く‥お前はここへ何をしに来た‥」 「だーれ!見ーえーなーいー!」 ……ラチが開かないと思った少年は‥水に浮かんでいると言った方が良い女性に近付いていく      ‥ガサッ!‥ 水が流れる音に混じって‥‥横の草木から葉が擦れる音が聞こえた! 「!!!」      ガザザザザ! 「グガアァアアアアァア!!!」 光る玉が2つ! 鋭い輝きを見せて少年に襲い掛かる!不意を突かれた!慌てて躱すが肩に鋭い何かが通り抜ける! そして水の弾ける音が響いた!そっちに顔を向けた少年は驚愕した表情を見せて刃物を構えた‥ 「ウソだろ?‥絶滅種のハズだろ‥」      ‥そう‥      白銀の毛皮      琥珀色の眼     鋭く鋭利な爪   ダイヤモンドより硬く    宝石より美しい牙   生物としては美し過ぎる     ‥まるで宝石‥ しかし宝石にしては生き生きと ‥それは神秘的な神々の芸術品 ‥それゆえに滅ぼされた種族‥ 「‥‥シルブジェム‥ウルフ‥」 ‥‥昔‥図鑑で見た事がある。狼にしては群れを作らずに幼き頃から独立して成長し、唯一‥天涯孤独に生きる狼犬 大きさは他の狼と同じと言え、噛み切る力はワニより強力。宝石より美しい牙は見た目とは裏腹に切れぬ物は無かったと聞いている‥ 畏怖と‥その芸術的な姿に見とれる少年だった 「グルルルルル」 「ワンちゃん?」 「ガウ!」 「ウワ‥‥‥返事したよ‥」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!