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「ガーちゃんは~?」
「ガァ!ガゥ!」
「近くで寝てるの?」
「!?‥調教獣士か?」
魔法術士には幾つもの特殊能力者がいる。その内の一つが調教獣士。別名、魔獣士。魔術士の中で唯一魔物と話し意識を共有できる術士である
「ガッ!グルルル‥」
「……男の子?」
「! しまった!」
少年がいきなり自分の姿を確認し始めた
(クソ!顔隠してねえ!ヤバイ!)
「ガァアア!」
「チッ!」
白銀の狼が鋭い牙を輝かせ少年に襲い掛かる!少年は急ぎナイフを構えて迎え撃つ!
水渋きを弾かせ!襲い掛かる牙を躱し!広げた口を持っている刃物で斬り付ける!
しかし結果は惨敗!ナイフの刃は美しい牙に噛み砕かれ‥破片が水渋きと共に弾けた
「ハッ!? 嘘だろ!刀匠が作った業物のナイフだぞ!?」
少年の後ろに着地した狼!器用に噛み砕いた刃の破片を川へ吐き出し、素早く少年の方向へ向き直る
「冗談じゃねえ!硬い鋭い以前の問題かい!」
未だ川の流れに身を任せ、裸で水浴びする女性を警戒しながら無惨に壊されたナイフを捨て、美しい狼と対峙!両手を胸の前で合わせた!
「グルル!‥」
「出来れば殺したくなかったのにな!正当防衛だ!勘弁しろよ‥」
合わせた両手が薄く光り始めた‥‥暗くなる森の中で川の水が小さな光りを反射させる‥
『諸刃の刃!』
詠唱!両手を広げた!空中に普通より短い木刀らしき物が現れる。それを素早く左手で掴み腰に当てる
右手はその木刀の端を掴み
両足を肩幅 程度に広げ
腰を軽く下げた
左足を軽く後ろへ
右足は前に!
力を足に入れ!膝!腰へ!そして肩!腕へと捻り流す!水渋きが舞い!川に幾つもの水の波紋が出来上がる!
白銀の狼が襲い掛かって来た!
少年は魔法を唱える!
『抜刀鎌鼬』
辺りには澄んだ鍔鳴りの音が響いた‥
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