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「……クガゥ?」
のそのそと起き上がるその熊は、例えて言うならば有名アニメの動物をリアルにした感じで、今にも巨大なコマを取り出し、その上に乗って空へ飛び出しそうだ
その大きさは校舎一階分を余裕に超えている。その熊は立ち上がり二足歩行になる。少年に背を向け、川から上がり体を振って水気を飛ばす白銀の狼の顔を見ていた
我に帰った少年は隙有り!と言わんばかりに大剣の持ち手を逆に掴み、ヤリ投げのような突きを放つ
しかし驚いた事に大剣の切っ先は熊の尻に火花を散らせただけで終わった。反動で尻餅を付いた少年
「カッ!タ!なんだこの熊!むっちゃくっちゃに硬ぇぞ!!?」
「……クァ?‥」
……まるで何事も無かったかのようにその熊は火花を散らした尻を掻いた。白銀の狼と対峙する……まるで話しているようだ。少年は体制を立て直して後ろへ退いた
熊が寝呆けた感じで狼にクゥワっと優しく吠える、狼はまだ川で水に浸っている少女へと頭を向け、巨大な熊に向かって豹変して吠える。熊は頭と尻を同時に掻いた
その熊に苛立ちを感じたらしい狼は大きく森中に響く遠吠えをノンキに欠伸をする熊に贈る
人間ならブツブツと呟くように低い唸り声を喉から鳴らしながら巨大な熊は後ろを振り向いた
……見せてやりたい。口を開いて驚くその熊の表情を‥見開いた目は疑うかのように瞼は素早い瞬きを繰り返し、開けた口からチロチロと舌を蛇みたいに動かして驚愕する……その表情を‥
「ま‥さか……ファーマー‥グリズリー‥」
見た目は普通の熊と変わりない
しかし鎧を着ているかのような
何よりも堅固な皮膚
ただそれだけの特徴だが
獣系魔物の中で危険度最上級‥
‥だった‥
「ウッソ~ン‥‥だって絶滅種のはず‥だろ?」
「クオ――――――ゥ‥」
「……表情豊か~」
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