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大熊は立ち上がったまま首を回した。少女が上空へ投げられる‥その瞬間に少年を警戒していた白狼が飛び上がり!空中で少女を背負うように密着した、それは四つんばいになる大熊の背中に着地……白狼は慎重に大熊の背中へ少女を下ろした‥
「ありがと~」
仰向けに乗り、あどけない声を出す少女に答えるかのように一吠えする二匹……大熊が足を折り畳み、屈む。少女は首を上げ、驚く少年を見上げた。
「?‥こんにちは~」
少年は驚きを隠せないまま‥その姿の少女を警戒し、ゆっくりと足元にある大剣を拾い上げた‥
(今は夜だろ……てか‥まだ素っ裸かよ!仰向けで……ヤバい‥たまりません‥)
何とか雑念を振り払おうとする少年は大剣を構えた。体制を低く、持ち手を顔の真横に配置、大剣の切っ先を目線に対し直線にする……すると白狼が唸りながら大熊の前に出た。少年は言う‥
「……あんた‥何者だ?」
「……ミコの事~?」
「巫女?」
少女は片手を動かし、少年を指差した……胸の肉が揺れる、男の性を捨てきれない少年は見逃さない。
(‥シー‥いや‥微妙にディー‥)
「わたしミコ~……あなただ~れ?」
「………!?‥その腕!」
少女が指差すその腕、確かに‥その乗る大熊に噛まれた腕。白狼が月明かりを反射させ、薄暗くても確かに視認できる‥傷口が無い‥素肌に残るのは僅かな血跡……白狼が盛大に吠える。
「だーかーら!だーれ!」
「!……ギルド‥ゴースト」
「?‥ギルド?……なーにそれ?‥ガーちゃん知ってる?」
「クォウ」
「……ワンちゃんは?」
「グルル!」
「……ギルドってどこー?」
「……はぃ?」
「どーやって来たの~?馬~?」
「電車にバスに歩き‥(馬?)」
「でんしゃ?‥ば~す?‥それってな~に?」
「……は?」
理解できないらしい少女……イヤ、それ以上に少年が理解できなかった‥
(こいつ‥人をおちょくってんのか?)
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