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(デッカ!フッル!ボッロ!さっきの離れ家か?んじゃこれ母家?‥ヒッロ!)
少年が辛うじて見えるその家は‥正しく和風式……しかしボロく、扉などガタガタ、石畳の玄関への道は何度も躓きコケそうになった‥
広い、デカい、見た目はどこかの富豪爺さんが住む家と言った所だ……開きっぱなしの木造の扉をくぐり抜け、家の中へ入った。
……人が住んでいる気配などある訳がない。ここは樹海の中、死の森の中なのだ。電気など無い……一つ間違えればご先祖様と顔合わせ出来る感じだ。
(怖!暗!危な!ヤベーよ!俺ん家よりヤベーって!絶対なんかいるよ!1人じゃねえよ!絶対なんか宴会してるって!めっちゃコエー!アー兄ぃとか連れて来てみろ!ゼッテー1人してブツブツ言いながら笑うって!変なとこ見て笑ってるって!何ここ!? 土足で入っちまったけど!てか入らざるを負えないんだけど!ここ素足で入れないっつーの!剣山地獄じゃん!木の針刺さる!つか穴開かねぇよな!? てかなんで俺ついて来ちまったの!?……釣られてねーよ!? あの子の裸に釣られた訳じゃないよ!てかもう見えないし!ここどこ!?)
先に行った熊と少女を追い、慣れない軋んだ廊下をビクビクと小刻みに周りを見渡しながら歩く……後ろからは唸り声を鳴らす白狼が登山バックをくわえながら少年の足を頭で押す‥
(なんだよ!待てって!真面目に怖いっつうの!それに暗過ぎて見えないって!押すなっての!ちょっと心の準備させて!お化け屋敷の比じゃねーぞここ!人間の本能が危険信号送りっぱなしなんだよ!怖いっつうの!)
「‥ガゥ‥」
「?‥どーしたの?早くおいでよ~、ギーたん」
「グルルル!」
(オイ‥いろんな意味でイテーよ……爪でアキレス腱を引っ掻くなって……ギーたんってなんだよ‥イテー‥)
「ガル!ワンッ!」
「判ったから‥ピンポイントでアキレス腱を引っ掻くのヤメテくれ‥犬のクセに器用過ぎだろ」
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