‥お邪魔します

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「ガッ!」 「痛っ!」 「ヷッ!」 「痛いっ!ての!」 右足を前に出すと後ろの狼に左前足で少年の左足のアキレス腱辺りを軽く引っ掻く、痛みで左足を前に出せば今度は右前足で引っ掻く狼。 明かりの無い暗闇の中で少年は殆ど競歩に近いはや歩きで進んでいた、暗闇の先で違和感極まりない笑い声が聞こえた‥ 「クォクククク!」 「おいおいおいおい!熊のクセして笑ってんじゃねーよ!」 「ガァ!」 「痛ったい!痛いわ!ホンットにイタッ!たい!分かったからホント分かったから!マジ勘弁して下さい!」 少年は両足の痛みを堪え、涙目になりながら、ボロボロになっていつ足を踏み外すか分からない木造廊下を進んだ‥ 「ギーちゃ~ん!こっちだよ~!」 少し先から少女の声が聞こえた……少年は大まかな位置を把握!痛みに堪えきれず走り出す!……見えた!突き当たり!襖(フスマ)が開いている!飛び込んだ! ドスン!と腹から着地‥今度は腹の痛みを堪える……風を感じる‥そよ風だ‥ (……屋敷の入口から端まで来たのか‥どうりで長い廊下な訳ね) 畳の感触を感じながら顔を上げ暗い部屋を細目で見る……すると少年の両目が一気に開き、冷や汗を流し始める。 「あ~!やっと来た!」 「クォククク!」 「マ……ジ‥かよ‥」 部屋の大きさは約30畳、広い。障子と雨戸が開いていて月明かりが部屋に入り込む‥ ……大熊が寝て、それを背もたれに少女が足を伸ばして座る。少年がまず真っ先に視線を定めたのは動物‥モンスターでは無い、魔物では無い普通の動物逹だった。 犬、山猫、鹿、猿、鳥‥少女を中心に動き回り……少女に服を着せていた。鹿が角を使い少女を吊り上げ、赤い袴を犬が持ってきて、複数の鳥が嘴(クチバシ)で掴んではかせる、猿が鹿の角に登り袴の紐を閉めた。山猫が白い白衣を持ってきて同じように鳥が持ち上げ、猿が着せた。 「マジかよ……操れるのは魔物だけだろ?‥普通の‥全く普通の動物は操れるはず無いって‥」
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