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とりあえず、家に連れて帰ってみた。
「せまっ!汚っ!」
「やかましい」
せっかく助けてやったってのに、反応それかよ。
「お前は一体なんなんじゃ?あそこまで進入できたってことは、凄い奴じゃないのか?」
「……どう凄いかは知らないが、お前が思う類ではない。というか、ジーンズを穿いた凄い奴はまずいない。いいから入れよ。お前を連れてるの見られたら俺が何を言われるか」
背中を押して部屋に入る。
鎖は護衛の持っていた銃を使って千切れたが、鉄枷まではそうはいかない。なので今のめぐるは、首輪と鎖をつけたままとなっている。
ちゃぶ台の前にめぐるを座らせて、お茶……は切れていたから、蛇口を捻るとたくさん出るミネラルウォーターをコップに汲んで、めぐるの前に置いた。
「……こいつに着いてきたのは、失敗だったかのう」
一部始終を見ていためぐるは、眉間にしわを寄せて目の前のコップを見た。
「そんなん今更にも程があるだろ。止めるなよ?」
何しろ、こっちも命がけだ。
この部屋に戻ってきたのも、色々な準備のため。これから俺たちは、追手から逃げ切らなければならない。
……その後のことは、まあ、どうにでもなるさ。
「止めるなどせん。いい加減。実験動物はうんざりじゃ」
「全くだ」
めぐるの言葉に同意する。
俺もいい加減、体の良い操り人形は、まっぴらだ。
ぴんぽーん。
「……ッ!」
直ぐに立ち上がり、身構える。
……刺客。か?
「早いな……」
思わず舌打ち。くそっ。まだ何の準備も出来てねぇのに……。
扉が、ゆっくりと開き……。
「やっほー。ジン。起きてるっ……て」
その姿に、思わず脱力した。
ルミさん。空気読んでください。
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