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アリスはとても困っていました。
どれだけ困っていたかというと、いつもは可愛いリボンの似合う髪がぐちゃぐちゃで、お母さんが縫ってくれたお気に入りのエプロン・ドレスは土や枯れ葉に塗れていて、大きなくるりとした目には涙が溜まるくらい困っていました。
何故そんなに困っていたかというと、お姉さんの大切にしているお人形のカリンを黙って借りてきて、あろうことか腕をなくしてしまったからです。
アリスはもう必死になって探しました。
木の根本や枯れ葉の下や、いろんな所を探しました。
でも、さっぱり見つかりませんでした。
「ああどうしましょう、カリンちゃんの手が見つからないわ」
アリスは暫く呆然として座り込み空を見つめていましたが、その内に声をあげて泣き出してしまいました。
可愛いカリンの手をなくしてしまった事も、お姉さんにどう言ったらいいかという事も、アリスにはどうしたらいいかもう見当がつかなくなってしまったのです。
泣き始めてからどれくらいたったか、アリスが泣くのに疲れてしまった頃、アリスは誰かに呼ばれた気がして顔をあげました。
するとどうした事か、目の前に小さな顔が見えていました。
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