瓶詰めのラヴ

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  「好き」   そう言った彼女の手には自分の手と同じぐらいの大きさの、蓋がきっちりと閉まるビンが握られている。   「アタシ達海よりも深く愛し合っているの、絶対に離れる事のない運命で結ばれて居るの。やっぱりあのオンナの所に行ったのなんて、何かの間違いだったんだわ。・・・嗚呼、あのオンナって言うのはね、アタシとカレを引き裂こうとした汚らわしい泥棒猫がいたの。きっと嫉妬で何か適当なことでも吹き込まれてしまったんだわ、可哀想なカレ、最低なオンナ。でも、こうしてアタシとずっと一緒に居られる体になれたんだもの、少しは感謝すべきなのかしらね。今はグチャグチャのミンチにされて豚の餌になってるだろうけど。そんなオンナなんてどうでもいいの、聞いてよ!アタシが大好きよって言うとカレったら嬉しそうにカランカランって骨を鳴らすの。まるで僕も大好きだよって答えてくれてるみたいで嬉しくて。そんなカレが浮気なんてする筈無いわ!・・・あら?ビンが曇ってる。折角の綺麗な姿が台無しだわ、赤と白と黒が映えなくなっちゃう。拭いてあげなくちゃ!」       そう言った彼女の手には肉と血と骨と少しの内蔵そして眼球の詰まった、元人間だったモノが握られている。
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