血色ハーブ園

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がちゃん、と重たい鍵の開く音がして御主人様のハーブ園にまた一人、お客様が来たみたいです。そのお方は黒いビニール袋に包まれ、手と足と顔が体から離れてバラバラになっていました。 御主人様はお客様のだらしなく開いた唇に口付けて「愛していたわ」と呟くと、純白のドレスをお客様の断面からじわじわと滴る真っ赤な液体に染めながら、バックから取り出した錆び臭いメスで細かく分けていきます。 そして、白い石のような頭蓋骨が幾つも埋まるハーブの畝に出来たばかりの「肥料」を撒いていきました。赤黒い液体が葉にかかって、てらてらと生めかしく光る様子を見て御主人様は恍惚とした表情を浮かべ、またハーブ園を去って行きました。 (人間を肥料に使ったハーブは、血の様な真っ赤な葉を空に向かって伸ばし続けるのです。)
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