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蓮「それじゃあ、行ってらっしゃーい」
親を送り出す子供のように手を振っているが、相手も見た目幼女の為、まんま『おままごと』のようである。
桜「行ってきます」
桜は蓮に手を振り返してやり、外に出た。
一瞬眩しさに目を細めるも、すぐに慣れてしまい、空を見上げる
空は雲一つなく、快晴だった。
桜「暖かくなりそうだな」
グッと伸びをしながら通学路を歩くと、急に視線を感じて辺りを見回す。
そこには誰も居らず、訝しげに首を捻る。
桜「誰もいない……おかしいなぁ……確かさっき視線を感じたのに」
しばらくその場で考え込む。
導き出された答えは気のせい。
そんな訳で気を取り直して、緑一杯の通学路を一人歩き出した。
通学路の横には市道が有るが、朝は車の通りが少ない為、静かだった。
桜「にしても静か過ぎだなぁ」
不思議に思った桜は、右腕にはめている時計を見る。
8時17分……。
始業時間は8時20分。
桜の居る場所から、学校は歩いて10分はかかる。
桜の顔がみるみるうちに青ざめた。
桜「……っ!!」
そして、桜は走り出した。
桜「マズい!こんな事なら考え込むなんて柄じゃ無いことしなきゃ良かった!」
朝の物静かな通学路に、桜の言葉と、地を蹴る音だけが響く。
桜「まぁぁぁぁぁにぃぃぃあぁぁぁぁぁぁえぇぇぇぇぇ!!」
陸上選手もびっくりな速さで猛ダッシュしたかいがあり、ギリギリの時間で校門をくぐり抜けることに成功する。
が、桜の目の前に一人の女子生徒の姿があった。
桜は減速して、その女子生徒との接触事故を避けるために回避行動をとった。
しかし、
桜「ぬあぁっ!!」
突然の回避行動に対応しきれなかった、桜の両脚がもつれ、盛大にすっころぶ。
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