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桜「何で俺の名前を……」
驚いたような顔で、少女を見る。
?「女の子のような男の子って校内じゃ人気だしねぇ」
女子生徒の言葉に、桜は鬱になった。
そりゃあ、自分のコンプレックスを笑いながら言われたら、落ち込むのは至極当然なわけで、ドンマイとしか言いようが無い。
桜「うぅ……人が気にしてることを……ぐすん」
目から出た汗を拭う。桜ちゃんはなかなかに心が弱いらしい。
?「あは、桜ちゃん可愛い♪」
顔に桜の涙を浴びながら、少女はニコニコとしている。
普通は嫌だろうに、少女はそんな顔一つせずに笑っている。
何がそんなに楽しいのか……。
桜「ぐす……ていうか、退きますね」
?「うん。了解だよ」
ベッドから降りると上履きを履き、身だしなみを整える。
?「あぁ、桜ちゃんから本当の意味で『女』にされちゃった」
上半身を起こしながら、うっとりとした顔で桜に視線を送る。
桜「あのぉ……」
?「あ、私三年の高宮紫苑。9月21日生まれのおとめ座で、スリーサイズは……」
桜「いや、名前だけ聞ければ十分です」
何も聞いていないのに、名前と誕生日、スリーサイズまで言おうとする少女の言葉を遮った。
一瞬惜しいことをしたなぁ、と思ったが、そこは聞いてはいけない気がした。
紫苑「何よぉ、せっかくお姉さんのナイスボディぶりを教えてあげようとしたのにぃ」
不満そうな顔をしながら、自分の胸を強調するように腕で寄せ上げた。
桜は恥ずかしさのあまり、顔を背ける。
その行動に紫苑は更に不満顔になる。
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