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「でっかいなぁ……」
一人の青年がそう呟いた。
彼の名はロスト=アーバイン
少々幼い顔立ちに短い漆黒の髪を風に靡かせ、漆黒の瞳で見上げるのは彼が今日から通う魔法学校ダイム。
ダイムはアストラル国の王都であるスームにあり、今日は入学式。
「うまくやっていけるかな……」
不安になりながらダイムの正門をくぐるロスト。
中には大きな道があり、その道は校舎まで一直線にのびており、自分と同じ制服を着た人達がたくさん歩いている。
その道を辺りを見渡しながら歩いているとある事に気づいた。
何故かみんな自分を見ているのだ。
その中には指をさしながら話をしている者もいる。
(なんか見られてる?
まさか田舎者ってばれた?)
ロストはスームから遠く離れたライムと言う村の出身で、人がこんなにたくさんいるのが初めてなので内心ビクビクしていた。
ロストがそんな事を考えているとどんどん人が増えてきた。
(なに?
なんかまずい事した?)
ロストの疑問は膨らむばかりだ。
すると
「おい!!
その黒髪!!」
と後ろから乱暴に声をかけられた。
ロストは後ろを振り返ると、厳つい顔をした男が三人いた。
肩についているラインを見ると二年だろう。
ダイムの制服は肩にラインがついており、それで何年生なのか分かるようになっている。
青は1年、緑は2年、赤は3年となっていた。
ちなみにロストは1年なので青のラインがついている。
「なんでこんな所にいるんだよ!!」
二年の一人がそう言った。
「……新入生だからですけど」
「んな事はわかってんだよ!!
俺が聞いてんのはなんでスームにいるのか聞いてんだよ!!」
ロストはわけがわからなくなった。
スームにいる理由はこの学校に通う為だ。
ただそれだけで何故こんなに怒鳴られるのか。
「なんとか言えよ!!」
また別の二年はそう言いながらロストの胸ぐらを掴んできた。
「えっと~。
俺なんかしました?」
考えてもらちがあかないと思ったロストは思い切って聞いてみた。
「はぁ!?
お前ふざけてんのか!!」
どうやらロストの一言は二年の怒りをかったらしく、残りの二人も近づいてきて囲まれてしまった。
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